バリアフリー現地調査2019 岐阜県美術館リニューアル


GIFU・バリアフリー観光推進プロジェクト2019 現地調査

令和元年12月17日

1年間の大規模改修を経て、今年11月にリニューアルオープンした岐阜県美術館へ行ってきました。

リニューアルされた岐阜県美術館

こちらへは3年前にも調査に来ており、前回調査したメンバーで再び訪問してリニューアルでどのように変化したかも見せていただきました。

ふらっと旅スポット 岐阜県美術館

今回のリニューアルでは、正門が県図書館側に変更され、間口も6メートルから15メートルに拡幅され路面の舗装が変更され、車いすやベビーカーでも通行しやすくなりました。

岐阜県美術館正門

展示室がこれまでの2室から3室になり、三つの企画展が同時に開催できるようになりました。
展示室は、作品のコンディションを保つために空調が増強され、室内の温度変化を抑えるために自動ドアも新設されたほか、反射を抑えるLED照明への変更など展示環境も改善されました。

展示室に設けられた自動扉

駐車場は、館北側にある地上のP6駐車場のスペース6台分が、車イスマークと「おもいやり駐車場」に変更されました。
トイレも改修されており、車イスマークのトイレは、オストメイト、ベビーシート、フィッティングボードなどの設備がついた多目的トイレとなり、トイレの前には点字付きの配置図も掲示されています。南側の実習棟にも多目的トイレが新設されました。

トイレ内部のレイアウトを示す案内板

館内に掲示されている、案内板やピクトサインも分かりやすくなりました。
総合案内所「ナンヤローネステーション」があり、コンシェルジュ(相談係)が常駐しています。

訪問した日には、リニューアルオープン特別企画が各展示室で行われており、展示室1の「ETERNAL IDOL」ではオディロン・ルドン、山本芳翠、熊谷守一、などの作品がユニークな方法で展示されていました。

第一展示室入口は自動扉
イメージする力、生きる力—ある日の『美術と教育』の出来事

隣の展示室では「イメージする力、生きる力—ある日の『美術と教育』の出来事」というテーマで、小中学校などの図工や美術の授業が減っていく中、想像・イメージすることの大切さについてハッと気付かされる展示でした。

子供たちの作品でイメージする力を培う取り組みを紹介

第三展示室の「セカンド・フラッシュ」は、新しいアートの世界があって驚きと感動がありました。「アートまるケット2018 養老公園プロジェクトParking Promenade」では、野外で車を使ったプロジェクトや、北方町生涯学習センターきらりでフレスコ画を描いたプロジェクトでは、実際描かれた壁画を置き、ストラッポ技法で布に転写された作品が天井から吊り下げられていました。

アートまるケット2018 養老公園プロジェクトParking Promenade
フレスコ画を転写した布が天井から吊られ、奥には壁画が

中でも印象に残ったのが、平野真美さんのユニコーンの作品で、とても独創的な世界でユニコーンを表現したものだけでなく、そのコンセプトやプロセスにも深いエピソードがあり、学芸員の方の話を聞きながら目の前に横たわるユニコーンに作家の体験や心情を映した物語を感じることができました。「アーティスト・イン・ミュージアム 平野真美 Meets 岐阜県立岐阜盲学校」として、岐阜盲学校の生徒さんと共同で行った作業の様子も紹介されていて、視覚に頼らないそれぞれの感性が現れていて、とても興味深い展示でした。

平野真美さんのユニコーン

恩田聖敬さん

また今回は、地元岐阜のプロサッカークラブのFC岐阜前社長で、現在は株式会社まんまる笑店代表取締役社長の恩田聖敬さんにも一緒に見学していただきました。

恩田聖敬さん

恩田さんは、高富町出身で、岐阜北高校卒業、京都大学大学院工学研究科修了後、新卒入社した上場企業で、現場叩き上げで5年で取締役に就任、2014年FC岐阜の社長にJリーグ史上最年少の35歳で就任されました。
その後、ALS(筋委縮性側索硬化症)を発症し、病気の進行でやむなくFC岐阜の社長を退任されましたが、現在は『ALSでも自分らしく生きる』をモットーに起業された「まんまる笑店」のほか「日本ALS協会 岐阜県支部支部長」としても精力的に活動し、講演活動や著書、SNSなどを通じて、これまでの経験や現在の自身の視点から、様々な発信をしておられます。
恩田聖敬 公式サイト Facebook  Twitter  YouTubeチャンネル

人工呼吸器を搭載した車いすで移動する恩田さん

当日は、ちょうど東京オリンピックの聖火ランナーの発表があり、恩田さんが聖火ランナーに内定されたということで、めでたく、テレビの取材もあって賑やかな日となりました。

早速、恩田さんからのレポートをいただきました。


『開放的に自由に肩苦しい美術とは違う美術と触れられる空間』

それが岐阜県美術館です。

私自身音楽はある程度かじりましたが、美術となると全く無縁で絵心も点でありません。
しかし、岐阜県美術館はいるだけで心地よく過ごせました。その1番の要因は導線の広さと天高です。車椅子でも全く窮屈さを感じさせない十分なスペースがありました。
私はALSのため横を向くことが出来ません。よって作品を正面から見る必要があります。私の車椅子は縦長ですが、全ての作品を正面から見られるスペースがありました。

また作品群には、世界に誇る日比野館長の魔法が施されていました。いかに美術を身近に感じてもらうか?、その中でこんなものも美術なのかと考えさせるエッセンスが散りばめられています。学芸員さんのお話もとてもわかりやすく、興味深いものでした。

私の中の『美術の定義』が面白く揺らいだ一日でした。今度はプライベートで家族と来たいと思います。健常者、障害者関係なくおススメスポットです(^ ^)

恩田聖敬


 

美術館ホールで今回のメンバーで記念撮影

取材への協力有難うございました。

調査データは、取りまとめなどを行ないふらっと旅ぎふへ掲載します。