ユニバーサルデザインタクシー乗車・運行体験レポート


12月10日、JR岐阜駅北口(信長ゆめ広場)にて、「ユニバーサルデザインタクシー研修会」が開催されました。

ユニバーサルデザインタクシー
ズラリと並んだユニバーサルデザインタクシー。カッコ良いなぁ!!

ユニバーサルデザインタクシーは、車いす使用者、お年寄り、妊婦・小さなお子さま連れ、外国からの観光客など、様々な人に優しく設計されたタクシーです。
そんなユニバーサルデザインタクシーの乗車体験をしてきました。

研修会開催にあたっての挨拶

研修会を開催するにあたって各所・関係者の方々のご挨拶のあと、車両についての説明がありました。

ユニバーサルデザインタクシー研修会
関係者の方々のユニバーサルデザインタクシーに対する熱意と期待が伝わるお話が聞けました

車両についての説明と乗車体験

続いて、車両についての説明があり、その後、実際に車両に乗車する乗車体験が行われました。
今回、体験のメインとなったのが「JPN TAXI(ジャパンタクシー)」という、ユニバーサルデザインタクシーでした。

JPN TAXI(ジャパンタクシー)とは

  • 国土交通省のユニバーサルデザインタクシー レベル1の認定を受け、昨年発売開始された、トヨタのタクシー専用車両
  • これまでのトヨタのクラウンセダンをベースとしたタクシー専用車両「コンフォート」に代わる、次世代のタクシー専用車両
  • 車いす専用の福祉車両ではなく、普段は座席にお客さんを乗せて運行し、シートをアレンジしてスロープを設置することでいつでも車いすのまま乗車できる
  • 乗降しやすい低床フラットフロアや大開口の電動スライドドア、車いすでの乗車も可能な構造など、細部から構造全体まで工夫と改良を重ね、様々な人に優しいタクシーとして開発に6年が費やされた
ユニバーサルデザインタクシー
JPN TAXIは規格に沿って開発されている

JPN TAXIの特徴

●乗車・降車方法

ほとんどの福祉車両(介護タクシーなど)は車両後部からスロープを使用して乗車するものが多いですが、JPN TAXIは車両の後部座席の左側のスライドドアから乗車できました。
タクシー運転手の皆さんの車いすの扱いも非常に丁寧で、安心して乗り降りできました。

ユニバーサルデザインタクシー
取り外し式のスロープ。2つのスロープ板が接合して1つのスロープになります
ユニバーサルデザインタクシー
車内での車いすの回旋もスムーズ

●車両の窓と助手席

車両の窓は大きく設定されていて、車いすの乗車時は助手席が折りたためるようになっています。なので、助手席が視界を妨げることがありません。

ユニバーサルデザインタクシー
後部座席から、車いすの乗車位置は左側 同乗者用の座席は右側となっています

運行体験・行き(川原町まで)

長良川鵜飼の行なわれる川原町までの運行体験をしました。4台のJPN TAXIと2台の福祉タクシーに分乗し岐阜の町並みをドライブしました。

目的地の川原町の旅館「十八楼」のタクシー乗り場にて、長良川温泉の宿泊施設で働く皆さんにも説明が行われました。

岐阜県バリアフリー観光推進セミナー
十八楼 時季の蔵前に停車中のJPN TAXI 古い町並みにもマッチしたデザインです

 

ユニバーサルデザインタクシー
宿泊施設の方々も、今後普及が進むことが予想されるユニバーサルデザインタクシーについて学ばれました

 

運行体験・帰り(信長ゆめ広場まで)

説明終了後、再び岐阜駅の信長ゆめ広場へと戻る運行体験となりました。
ユニバーサルデザインタクシーを体験した感想をそれぞれ一言ずつ話して、研修会は終了となりました。

ユニバーサルデザインタクシーの乗車・運行体験を終えて

私は今回、研修会に参加して、初めてユニバーサルデザインタクシーに乗車しましたが、驚きがたくさんありました。

  • 乗車時に後部座席側から車いすのまま乗車した事
  • 車内で車いすの回旋がスムーズに行えた事
  • 助手席が折り畳まれて視界が広がった事
  • 車いすを固定する際に肩側からシートベルトを回して掛けた事

など、私が普段利用している介護タクシーの乗車方法とは違うものでした。

自動車会社の方がユニバーサルデザインタクシーについて説明されていたお話の中で「JPN TAXIを開発するのに6年かかった。」と仰っていましたが、様々な試行錯誤を繰り返した結果、生み出された車両なのだな。と運行体験をしている時に思いました。

運行体験の新聞記者さんのインタビューで私自身の事についてもお話しましたが、同様に運転手さんもインタビューされていました。その中で、JPN TAXIは通常の車両よりも価格が高いため導入にはこれまでよりもコストがかり、発売から1年経ったが岐阜県内の各タクシー会社でも、まだ台数が少ないことや、運転手さんの中にも車いす使用者を乗せた経験がないケースもあることなど、サービスを提供する側のお話を聞くことができたので良かったです。ハイブリッド車ということで、エンジン音も少なく静かで会話もスムーズに楽しめました。

帰りの運行体験の車両は別の福祉タクシーでしたが、それぞれの違いも分かって良かったです。
帰りも運転手さんとの会話を楽しむことが出来ました。

これから2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けJPN TAXIをはじめとする、ユニバーサルデザインタクシーが普及して様々な集客につながり、気軽に利用できる安全な移動手段となってすべての人々の社会参加の助けになると私は思います。
そのためにもユニバーサルデザインタクシーは特別なものでは無く、身近なものとして多くの方に知って貰いたいです。

関係者の方のお話の中にもありましたが、イギリスのロンドンバス、アメリカのイエローキャブのように、「日本のJPN TAXI」と言われるような、「日本のおもてなしの心のこもった移動手段」となっていけばと願っています。

ユニバーサルデザインタクシーで「行けるところへ行くのでは無く、行きたいところへ行く」ことができる日が1日でも早く来ますように。

有意義な時間を過ごすことができて良かったです。

ユニバーサルデザインタクシー研修会 新聞記事
中日新聞に掲載されました

(調査スタッフ K.N)