ぎふ長良川鵜飼 車いす乗船体験レポート

8月某日、岐阜市長良川で行われている「ぎふ長良川鵜飼」を、車いすのまま乗れる「バリアフリー観覧船」に乗船して鑑賞してきました。

バリアフリー観覧船「金華丸」に乗って鵜飼を堪能しました

1300年前から続く長良川鵜飼は、国の重要民俗文化財にも指定されています。
また、観覧船の一部が車いすでも乗船できるバリアフリー船となっており、観覧船に乗船するための「船着き場」までの経路も、道路から階段なしで行けるよう整備されているため、車いすでも快適に鵜飼を観覧することが出来ます。

鵜匠による鵜飼説明

乗船前に鵜匠さんから鵜飼についての説明があります。
鵜飼の歴史や鵜匠さんならではの話を聞くことが出来ます。

観覧船乗り場の前は、乗船客で賑わっています。

 

観覧船に乗船

私たちが乗船したのは車いすのまま乗船可能な、バリアフリー対応の観覧船「金華丸」でした。
船の柵の一部が取り外し可能になっていて、そこにスロープを設置してもらい乗船しました。

係の方が乗船の介助をしてくれます。

漁場まで移動

鵜飼漁場まで移動します。船上から観る長良川沿いの夕景はとても綺麗でした。

綺麗な夕焼け
金華山(岐阜城)

鵜飼が始まるまで

観覧船が漁場に着いてから鵜舟がやってくるまでの間は時間があるので、食事をしているお客さんが多かったです。踊り子さんが踊りをしながら観覧船の周りを巡っていました。

鵜飼が始まるまで河原に停泊して待ちます。
長良川艶歌や長良川音頭など、岐阜にゆかりのある歌が流れていました。

鵜飼の開始

鵜飼の開始時には花火が揚がります。

花火が4回上がったら、いよいよ鵜飼が始まります!

鵜飼

赤々と燃えるかがり火に照らされながら鵜匠が勇ましく鵜を操っていました。

鵜匠が一度に操る鵜の数は最大12羽までだそうです。

 

総がらみ

6人の鵜匠全員が1箇所に集まり、鮎を追い込む総がらみ。
近くで観ると迫力が違います。

水面に映し出されたかがり火の灯りも綺麗でした。

下船

乗船時同様、係りの方に介助して頂き無事下船し、乗船終了となりました。

乗船時とは違い、辺りはすっかり暗くなっていました。

 

「観覧船」に乗車してみて

この日は前日に雨が降ったので、長良川の水かさも多く、鵜飼船と並走していく「狩り下り」では無く、観覧船は川岸に停泊し、順次鵜舟が下る様子を観る「付け見せ」という観賞方法でした。

かがり火に照らされながら伝統衣装に身を包み、巧みに鵜を操る鵜匠の姿。
非日常的で幻想的な空間でした。鵜舟が観覧船の傍を通るとかがり火の熱を感じることもできました。

また、地元の人間である私も、普段意識して観ることは無かった長良川沿いの町並みを船上から観るというのはとても新鮮でした。船上で感じる川を吹く風は涼やかで気持ち良かったです。

車いすのまま乗船できる観覧船を利用して、車いす利用者の方にも長良川鵜飼が時を重ね守り伝えてきた伝統の技を、その目で観て知って貰えたらと思います。(調査スタッフ K.N)

車いすで観覧船に乗るには

バリアフリー船の予約は、ぎふ長良川鵜飼のホームページからは予約できませんので、電話にて予約してください。
電話番号:058‐262‐0104

公共交通機関でのアクセス方法

私は今回、JR岐阜駅バス停から岐阜バスの市内ループ線(左回り)に乗って行き、「長良橋」バス停で降車しました。
(市内ループ線は常時、車いすのまま乗車可能なバスが走っています。左回りもありますが、遠回りになります。)

ループ線路線図

※帰りは市内ループ線(右回り)に乗って帰りました。

運転手さんが乗降介助をしてくれるので安全に乗降することができます。

 

長良橋のバス停から案内所・観覧船乗り場までは車イスでも2~3分で行くことができました。案内所・観覧船乗り場は長良橋の下に位置します。

 

おまけ

360度パノラマ動画です。左上の▲マークを操作して全方向が見られます。

スマートフォンなどの場合は、YouTubeで見てください。

バリアフリー現地調査2017 白川郷

GIFU・バリアフリー観光推進プロジェクト2017 現地調査 白川郷

平成29年9月4日

白川郷荻町合掌造り集落

野外博物館 合掌造り民家園

白山白川郷ホワイトロード

を調査させていただきました。

荻町城跡展望台から合掌造り集落を眺める

白川郷荻町合掌造り集落

白川郷は日本でも有数の豪雪地帯で、荻町地区には積雪時に有効な急勾配の茅葺の屋根が特徴の「合掌造り」の家屋が今も多く残っており、まるでおとぎ話の世界にタイムスリップしたような雰囲気です。
「白川郷・五箇山の合掌造り集落」として世界文化遺産に登録されており、季節を問わず、国内外の多くの観光客で賑わっています。

合掌造り集落は、メインの通りが道幅も広く舗装され、観光車両の通行が制限されているため、車いすでも散策しやすくなっています。
通りに面した飲食店やお土産屋さんも入口の段差が無く入りやすいお店が多く、休憩所やバスターミナルには、車いすで利用できるトイレも設置されており、安心して散策できます。

舗装された道路は車も少なく車いすでも安心でした。

野外博物館 合掌造り民家園

使われなくなった合掌家屋を自然環境の中に移築して保存し公開している野外博物館です。
広い園内には、県重要文化財指定の9棟のほか全25棟の合掌造りがあり、神社や水車小屋なども移築されています。
貸出用の車いすもあり、園内には休憩所や売店、飲食店、トイレも設置されていて、車いすで利用できるトイレもあるため、ゆったりと散策できます。
園内の通路は、一部舗装されていますが砂利敷で傾斜もありますので、手動車いすの場合は押してもらったほうが良いかもしれません。

緑が美しく、合掌造り家屋が風景にマッチしています

白山白川郷ホワイトロード

白川郷から石川県白山市を結ぶ有料道路で、霊峰「白山」の北側の標高1450メートルを走り、樹齢300年のブナ原生林や高山植物など季節折々の大自然の素晴らしさ、雄大な景観を楽しむことが出来る山岳ドライブコースです。
昭和52年に「白山スーパー林道」として開通してから40周年を迎え、数多くの自然をそのまま残しながらも、展望スポットには舗装された駐車場や車いすで利用できる多目的トイレ、情報ハウスなどの施設も完備し、様々な人に安心な観光スポットになっています。

9月の下旬からは、様々な広葉樹が色づきはじめ、色鮮やかな紅葉が楽しめるシーズンとなります。

整備された三方岩展望台は、先端まで車いすで行け雄大な自然が間近に望めますね。

バリアフリー化工事のお披露目式

訪れた日には、標高1445メートルの地点にある「三方岩駐車場」で、「歩道・展望台バリアフリー化工事お披露目式」が行われており、出席させていただきました。
白山白川郷ホワイトロードでは、平成27年度から利便性・安全性・管理性に配慮した工事をすすめ、馬狩料金所、白川郷展望台、石川県管理事務所横トイレを多目的トイレとして再整備、白川郷展望台には車いすの利用に配慮した「情報ハウス」を建設、三方岩駐車場の舗装を安全に通行できるように凹凸をなくすための打ち替えを行なってきたそうです。
今回の「三方岩駐車場歩道・展望台バリアフリー化工事」では、車いすの通行に配慮して、舗装の素材を滑りにくく衝撃の少ないものとし、歩道の幅を車いすが安全にすれ違ったりできる2メートルとしたそうです。
展望台は、階段の手すりを設置し、階段の踏み台を安全な高さにしたほか、展望台の柵に使われている支柱は、素材を金属やコンクリートではなく樹脂性のものとして、接触時の衝撃を和らげる工夫がされているそうです。

滑りにくく緩やかなスロープが設置され、車いすでも安心して景観を楽しむことが出来ますね。

毎日新聞 2017年9月5日 岐阜県版より

毎日新聞

白山白川郷ホワイトロード展望台 バリアフリー化が完了 「先端まで安心して行ける」 
白川村と石川県白山市を結ぶ「白山白川郷ホワイトロード」(全長約33キロ)の三方岩駐車場(白川村、標高1450メートル)で、歩道・展望台のバリアフリー化工事が完了し、4日、完成お披露目会が開かれた。
 同駐車場は昨年から舗装工事を実施。今年は歩道の幅を、車椅子同士がすれ違うことができる2メートルに拡幅。さらに、展望台を50センチかさ上げし、設置したスロープの傾斜を緩やかにするとともに、中央部分のみだった階段を全面に整備し、手すりも設置した。
この日は白川村の福祉施設の入所者らが招待され、県森林公社の竹内和敏理事長が「快適に使用していただけることになった。多くの人に楽しんでもらいたい」とあいさつした。

バリアフリー化工事完成お披露目式の様子

 

天気にも恵まれ、充実した調査・取材になりました。
ご協力、ありがとうございました。
調査データは、取りまとめなどを行ない順次ふらっと旅ぎふへ掲載していきます。