バリアフリー現地調査2018 高山市内3

GIFU・バリアフリー観光推進プロジェクト2018 現地調査 高山調査3

平成30年2月1日

高山市にある2つの宿泊施設

スパホテルアルピナ飛騨高山
ひだホテルプラザ

を調査させていただきました。

スパホテルアルピナ飛騨高山

「スパホテルアルピナ飛騨高山」は、市内観光にも便利なJR高山駅から徒歩3分の市中心部にあります。

建物入口にはスロープがあり、館内も客室まで段差がなく車いすでも問題ありません。

入口階段横のスロープ

朝食会場は1階の「アルテラス」となっていて、和洋食バイキング形式ですが、車いす利用者など自分で取りに行くのが難しい場合は配膳をお願いすることも出来ます。
通路も広く、テーブルは車いすでも利用しやすい高さとなっています。

朝食は1階の「アルテラス」
アルテラスのテーブル

「ユニバーサルルーム(ツイン)」が2部屋あります。
室内で車いすが回転でき、トイレ・浴室の入口も3枚扉で開口が広く利用しやすくなっています。

ユニバーサルルーム

最上階にはは天然温泉の大浴場があります。
寝湯、露天風呂やつぼ湯もあり、ゆったりリラックスできます。(入り口に段差があります)

天然温泉の大浴場

ひだホテルプラザ

「ひだホテルプラザ」は高山市役所のすぐそば、JR高山駅から徒歩5分ほどのところにあります。
喜多館・東館・皆美館の3棟、和洋中レストラン、宴会場、会議室、売店、大浴場、露天風呂のほかチャペルや温水プールまである大型の宿泊施設で「2017年度人気温泉旅館ホテル250選の5つ星の宿」ホテルにも選ばれているそうです。
また、長くバリアフリーにも取り組まれており「平成13年度GIFUバリアフリー賞」も受賞されています。

数日前の寒波で、まだ積雪がありましたが、駐車場は除雪されており、ほとんど雪はなく車いすでも安心して通行できました。
駐車場の横には小型の除雪機があり、さすが雪国と感心しました。

小型の除雪機

建物に入ってすぐのエントランスロビーは広く、フロント前にはからくり屋台が展示されていたので、記念撮影をさせていただきました。

フロント前からくり屋台

建物の連結部分など、階段があるところにはスロープが設けてあり、車いすなどでも移動しやすくなっています。

エントランスから売店「ひだ小路」へのスロープ
皆美館のエレベーターは広くて快適です

皆美館のユニバーサルルーム和室
8階以上のフロアーに各1室あり、和室ですが8畳の寝室にはベッドが置かれています。

ユニバーサルルーム(皆美館)の寝室

入り口には段差がありますが、専用スロープがあります。
車いすで和室に入るときは、タイヤを拭いてから上がります。

入り口の可動式の専用スロープ

トイレ、洗面所は車いすが回転できる広さです。
洗面台は、車いすでも膝が当たらない高さで使いやすくなっていました。
お風呂も広くシャワーチェアが利用可能です。

車いすのまま利用しやすい洗面台

東館のユニバーサルルーム和室(東館に2室)
こちらも部屋は和室ですが、6畳の寝室にベッド(ツイン)があります。
入り口に段差がありますが、スロープが設置されています。
洗面所やトイレ・風呂も十分な広さがあります。

東館のユニバーサルルームトイレにはオストメイトの設備もあります。

このほか車いすで利用できる部屋は、東館に和洋室・洋室、喜多館に洋室、皆美館に洋室で、今回調査した部屋も含めて9部屋あるそうです。

東館地下の大浴場は入口から脱衣場、浴場も畳敷きで、各所に手すりが設置されていて安心です。

地下の大浴場

このほか喜多館に展望大浴場と露天風呂もあるそうです。

2月の飛騨ということで、雪の心配がありましたが、無事調査を終えることが出来ました。
ご協力、ありがとうございました。

高山は、今回調査させていただいた2つの施設のようにバリアフリーに取り組まれている宿泊施設が他にもあり、観光施設や駅、道路、公衆トイレなども障がいのある方に配慮された誰にも優しい観光地ですね。

調査データは、取りまとめなどを行ない順次ふらっと旅ぎふへ掲載していきます。

バリアフリー観光推進セミナー in 高山 開催しました

GIFU・バリアフリー観光推進プロジェクトでは、観光施設のバリアフリー状況の調査・取材をさせていただきWEBサイト「ふらっと旅ぎふ」等で紹介する他にも、受け入れ体制の向上のため、バリアフリーの先進的な取り組み事例を紹介したり、障がいのある方や高齢者の課題などを学び接遇技術の向上やサポート体制を強化するための研修なども行なっています。

2月1日、高山市にある飛騨・世界生活文化センターにて「バリアフリー観光推進セミナー in 高山」を開催しました。

高山市観光課よりバリアフリー観光の取り組みを紹介
岐阜県観光企画課よりバリアフリー観光推進事業を紹介

講演 先進事例の紹介

午前中の講演では、山崎まゆみさん(温泉エッセイスト VISIT JAPAN大使)に「世代をこえて楽しむ温泉旅行のすすめ」~バリアフリーで温泉に新たな活路をテーマにお話いただきました。

20年以上にわたり国内外の温泉を取材されている山崎まゆみさん

山崎さんは、これまで世界31カ国1000ヶ所以上の温泉を巡り、新聞、雑誌、著書、テレビ、ラジオなどで広くその魅力を伝えています。
また「ユニバーサルデザイン2020関係府省連絡会議 街づくり分科会(内閣官房)」にも参画し、東京オリンピック・パラリンピックに向け、バリアフリー温泉の推進に力を注いでいます。

2015年には、これまでの活動で培ってきた温泉の深い知識や経験と、体が不自由な方やお年寄りにも気軽に温泉に入ってほしいという熱い思いから「施設」だけでなく「心」の面でも優れたバリアフリーの温泉宿を選び、実際に現地へ行き取材をして「バリアフリー温泉で家族旅行」を執筆されました。
詳しいデータと図や写真でバリアフリー状況を詳細に掲載し、長年温泉を取材してきた視点で、山崎さん自身が行きたいという温泉宿の魅力を紹介するという、これまでにはなかったガイドブックとなっていて、多くの反響により2017年10月に第二弾「続・バリアフリー温泉で家族旅行」も発売されました。

今回の講演では「明日から始められるバリアフリー温泉その心得」と題し、これまで取材で訪れた全国のバリアフリー温泉の事例を中心に紹介していただきました。
実際に取材した様々なバリアフリー事例を写真付きで分かりやすく紹介し、大掛かりな施設の改修ではなく、身近なところから取り組める工夫や、用具の活用など具体的な事例をお話いただきました。
そして、バリアフリーという言葉を難しく考えず、お客さまの希望を「できない」と思うのでなく「できることを探す」という姿勢で取り組めば良いとお話されました。

また、アメリカのバリアフリー温泉の話もあり、コロラドの温泉施設では、入浴用の設備などハード的なバリアフリーも整備されているが、その入浴設備は殆ど使うことはなく、お客さんの状況に応じてスタッフが都度人的な対応をしているという話も大変興味深いものでした。

セミナーに参加された方からは「バリアフリーはハードだけでなくハートが大切で、今後はバリアフリー情報の開示や便利な道具の利用など積極的に取り組んでみたい」や「バリアフリーに対して気負わず、身近なところから気を楽にして取り組みたい」などの感想をいただきました。

「温泉とは、世代を超えてみんなで一緒に楽しめる場所」という言葉が印象に残りました。

山崎さんは、講演の2日前から飛騨に入られ、奥飛騨温泉郷と飛騨高山温泉のバリアフリー温泉の取材をし、奥飛騨の雪見露天風呂も堪能されたそうです。

受付にあった山崎さんの著書、脳科学者の茂木さんとの「お風呂と脳のいい話」も面白そうですね。

研修 バリアフリーおもてなし講習

車いすを操作してコースを走行しました。じゅうたんの上は抵抗があって腕の力が要ります。

午後からは、バリアフリーおもてなし講習として、車いすユーザーのバリアフリー調査スタッフが講師を務め「車いす利用者への接遇・サポート実習」を行いました。

障がい者・高齢者、車いすについて座学で学んだ後、会場内に作ったコースや施設内のスロープ、トイレ、エレベーターなどを実際に車いすを自分で操作、車いすを介助する・されると立場を変えて利用していただきました。

3cmの段差を車いすで乗り越えるのもコツがいりますね。

参加された方からは「初めて車いすに乗ってみて恐怖感も体験できたので、今後は相手の気持ちに寄り添って接客したい」という感想もいただきました。

前週の寒波で高山市内にも雪が残り、丘の上にある会場へ来るまでの道路には結構な雪が積もり車のタイヤも滑るような状況でしたが、そんな中でも会場へ足を運び講師の話に熱心に耳を傾けていただきました。

山崎さんもお話されていましたが、どうしても「バリアフリー」という言葉が独り歩きして「エレベーターやスロープを設置しなければならない」という印象を与えてしまいがちですが、あまり重くとらえず、声がけやちょっとした工夫など身近なところからスタートしていただければ嬉しく思います。

一歩づつですが、多様なお客様が安心して岐阜県を訪れていただけることに繋がればと思います。

今後も、セミナーや研修を開催していきますので、是非ご参加ください。